エンドレス・サマー

前向きで切ないアイドルたちが大好きです。

アイドル加藤成亮のルーツを考える

12/12にNEWSさんの新曲発売決定!!!
おめでとうございます♪

ぼやぼやしているうちに+act miniのインタビューがやってきてしまいましたので、早くもMyojo10000字インタビュー感想エントリーに、シゲアキ先生の登場です。
増田さんはこちら↓
アイドル増田貴久のルーツを考える - エンドレス・サマー

あと、+act miniはシゲ担になるかも?っていう人は必見ですよー!近いうちにこちらで紹介しますので、ぜひ本文をお手元に置きつつ読んでいただければなぁと思います。

+act. Mini (プラスアクトミニ) vol.19 (+act. 2012年 12月号 増刊)

+act. Mini (プラスアクトミニ) vol.19 (+act. 2012年 12月号 増刊)

Myojo、このころは「成亮」だったなぁ、とか思うと本当にいろいろなことを感じますね。まさか、今シゲ担でこんな文章を書くとも思っていない時期ですね。
昔のシゲのロングインタビュー、共感できることが多すぎて、感想がうっとうしいと思うので飛ばしつつ読んでいただければ幸いです(笑)
お付き合いくださる方は続きからどうぞ!

■Myojo10000字インタビュー(追記)
今回は、Myojoの2011年11月号に掲載の加藤成亮10000字インタビューを元に書いています。

以下、増田さんと繰り返しになります。
NEWSの10000字インタビューは2011年の7月号のぴーさまから始まり、手越さん、小山さん、まっすー、シゲアキ先生、離脱後の亮ちゃんへと続いています。
というわけで、この10000字インタビューを受けているときは、ファンは知らなかったものの、すでに2人の離脱が決まっている時期ですね。
そんなことを考えつつ、シゲのインタビュー感想スタートです!


■さびしがりやで自己防衛に必死だった幼少期
 小さいころの自分を「さびしがりだったかな」と語り始めたシゲ。ご両親の自立心を養う、という教育方針から、幼稚園のころからひとりで寝ることになり、それが嫌で仕方なかったといいます。
「ひとりっコで両親が共働きだったからか、人との距離のとり方がすごくヘタで、ちょっと、変なコだった」と本人が語る通り、べったり甘える機会も少なく、率直に感情をぶつける相手もいなかったために、素直に感情出すというような、周りが当たり前のように出来ていることが出来なくて、それになんとなく気付いていたから、恐る恐る、だけど絶対に失敗したくない一心で人と付き合ってきたのかなぁと思います。

 そんなシゲは、小2のときにクラスメイト全員から無視されてしまいます。理由は嫌われるようなことばっかりするから。「生意気で口が悪かったんだよね。全部、虚勢だったんだけど」「嫌われることの恐怖心がすごくあったうえに、同時に弱者になる恐怖心はもっとあって」「イジメられっコになりたくない一心で、気付かないうちに、イジメっコになってた」
 そのころの自分に、すごいショック、反省していると言ったシゲ。

 あんまり健全じゃないかもしれないけども、こういう気持ちすごい分かるなぁと思いました。私も甘えたり、感情出すのはいまだに苦手だし、特に子供のころは、変に達観してて同じタイミングではしゃげなくて、何かが出来るわけでもないくせに器用に立ち回れたらいいなと思っていたし。周りのキャラが濃すぎて、シゲみたいにクラスの中心にいたいとも思わず、早々に教室の端っこで平和にやっていけたらいいや、って思ってなかったらシゲみたいなことになってた気がします笑

 あと、どうにかイジメっコにならずにここまできましたし、もちろんイジメ推奨派でもないですが、シゲがイジメっコになってしまったのも、少しはわかる気がします。自分が牛耳る立場になっちゃうと楽じゃないですか。立場が安定するし、自分についてきてくれる人もいるし。シゲみたいな気持ちでイジメっコになってしまう子って、他に注目を浴びる手段も、人に好かれる手段も見当たらないというか、自分自身に武器がない・魅力がないって気持ちがどこかにある子なのかなぁと思うんです。出来るだけ安全かつ確固たる居場所が欲しいし、居場所がある、友達がいるってずっと安心していたくて、自分が安心して生活できることを最優先にしているうちに間違ってしまう子なんじゃないかなって気がしてます。
 だから、たとえばテゴマスみたいに運動が得意で、それを武器に出来る男の子だったら、シゲの性格も、幼少期の経験もかなり違っていたんじゃないかなとも感じました。

■カッコいいって言われたかった小学校高学年
 自分の感情を咄嗟に出すのが苦手だったというシゲ。ひとりになってから「あれ? よく考えたら腹が立つ!」ことがあるのに、ケンカの仕方も分からず一人でケンカのシュミレーションをして「自分で自分にケンカを売る」
なんとなくだけど、人付き合いに臆病なために、一時の感情で関係を大きく変えてしまうことにも慎重で、理性が強めなのかなぁと感じました。だから、感情を保留にして、理性が戻ってからアクションしたがるんじゃないかなと。シゲは「自分で自分にケンカを売る」うちにクルーダウンして理性で飲み込むことも結構多かったと思うし、どうしても収まらないときは効果的にケンカに勝つ方法を考えたりするんだと思います。

シゲのインタビューを読んでいると、感情表現が素直な方にとっては、不器用で考えすぎてて物珍しい性格に見える気がしますが、程度や方向性は違えど、似たような思いをしている人はそこそこいると思います(笑)
シゲみたいに率直に言葉にするような人もめったにいなくて、なかなかめんどくささに気付かれないだけで(笑)
だから、シゲの中身を知れば知るほど、ついつい応援したくなる人が多いのかもしれないですね。

いろんな失敗をしながらも、小学校5、6年からは友達もでき、目立ちたがりなために変わらずにクラスの中心にいたいタイプだったシゲ。そのころは自分を大きく見せたくて、カッコいいっていわれたいし、ファッションにもこだわっていたといいます。でも過去の人間関係を引きずってか、「どこかでメッキがはがれるんだろうなって予感もあって、ゆがんでましたね(笑)」と少しシビアな目線を持ちつつも、「とはいえ孤立する勇気もない。さびしがりだったんだと思う」と語ります。

いやー、シゲのインタビューは心えぐられますね!ついつい自分を投影しがちになってしまって申し訳ないです。
読みやすいように、ちゃんとフィルター通してくれてる語り口なんだけども、言葉も感情もすごく率直な人ですよね。見せないだけで、何もかも保管してあるし、伝えるって決めたことは正確に伝えてくれるので、そこまで言わなくてもいいよ!ってシゲの代わりにこちらが痛い気持ちになってしまいますねー。

たぶん、この幼少期が、NEWS結成後もメンバーに対して少し受身な感じだったり、アイドルとしての不器用さにも繋がっていると思います。あと、シゲがアイドル業を手放さなかったのも、誰かに構ってもらいたいし、誰かの特別でありたい、みたいな気持ちが割と強めだからなのかなぁともちょっと感じてます。そして、続くJr.時代のエピソードにも、正直だけどちょっと見栄っ張りで、周りに構ってもらいたい寂しがりな成亮少年の姿が浮かんできます。

■何か仕事をするなら芸能界だった
 SMAPが好きで、タッキーにも憧れがあり、アイドルがすごくカッコよく見えたといいます。自分が優柔不断(というか、好奇心旺盛って感じじゃないかな?)だと分かっていたというシゲは、何でも出来る芸能界で「やれたらいいな」との気持ちからジャニーズ事務所に応募。応募したことをクラスの友人に言っちゃって「ジャニーズになれると思ってんの?」と冷やかされながらも、一年半経ってようやく返事が来て、オーディションへ。オーディション中に社長が声をかけて態度を変えたら落ちると聞いていたシゲは、特別なアピールは全くしなかったものの、社長を前にしての平然とした態度も評価されたのか(笑)、晴れてJr.になり、アイドルとしての第一歩を踏み出します。

■エリートなJr.時代
 まっすーとは反対に、シゲのJr.時代は「経歴はエリートです(笑)」と本人が言うくらい、エリート街道まっしぐら。「1ヶ月後には沖縄、3ヶ月後にはハワイに仕事でつれて行ってもらって、半年後にはマイクも持たせてもらった」その一方で、「自分ができていないこともチョーわかってた。だから、いつもドキドキしてたし、いっつも緊張してた」「なんにもできないんですよ。歌もダンスもなんにも」「なのに、Jr.の立ち位置はドンドンよくなるし、仕事がドンドン入ってくる」自分の出演した部分をすべて見ていたために、実力不足も冷静にも見れていた。そして、このエリートっぷりは、先輩にとっては生意気で可愛げのない後輩にも見えたのか、同期や後輩とは仲がよかったものの、「俺は先輩のこと好きだし、尊敬してたけど、態度ではあらわせなかったんだよね」「かわいがってほしかったし、さびしかったですね」と先輩と上手く関係を築けなかったと語ります。

 その後、増田さんが驚愕した「受験休み」期間へと突入(笑)そのころは「自分がデビューできるなんて思ってな」く、いつまでトントン拍子が続くかも分からず、小一からの塾通いの成果も放棄したくなかったために、受験を選んだといいます。受験が終わった後に、社長に「受かりました! また仕事したいです」と電話し、呼び出されたリハーサル室で昼の連ドラが決まります。

 続いて受けたオーディションで金八出演が決定。周囲からも「受かりそうだよね」と言われた金八で、一気に知名度も上昇したものの、友人に冗談で言われた「おまえの芝居だったら、俺のほうがうまいと思う」という言葉にもヘコむくらい、「自分が演技できない」ことを痛感し、葛藤の大きい時期だったといいます。「経歴はエリートでも、自分の中では全然仕事に追いついてない」と再度客観的に見た自分の実力とどうしても向き合うことになった仕事にもなりました。

その一方で、「現場は楽しい」し、「ダンスも芝居も歌も、年を取ればうまくなるって思ってた」「すべては時間が解決してくれる」と思っていたために、シゲの言葉をかりるのならば「それなりに」努力はしていても、全力ではなくて、アイドル業の楽しい側面だけを極力味わって満足していたのかなぁと思います。しかし、その思い込みはデビュー直前に覆され、「そうであって欲しいと逃げていただけ」「年のせいなんかじゃ、ごまかせない」と理解することになります。

シゲは「エリート」であるがゆえに、普通のJr.たちの少しでもポジションをあげるためにがむしゃらになるような経験が少なく、手越さんと同じように、デビュー後にJr.時代の苦悩を味わった人なんだろうと思います。デビュー後は、理想の自分と現実の立ち位置のギャップに傷つき、でも、どうやって差を埋めるかも分からなくて、もがきにもがいたんだろうなぁとも感じました。

そして、ここで注目すべきは、一見思い上がって舞い上がっていたようなJr.時代ですが、決して自分に溺れていたわけではなく、実力不足だと誰よりも自覚していたところ。芸能界ではさぞ生きにくいと思われる「客観性」をこの年から発揮していたことも分かります。それでも次のアクションに繋がらなかったのは、トントン拍子だったために真正面から向き合わなくてもやっていけていたし、本人の語る通り、逃げていたという言葉がハマるんだろうなぁと思います。あと、後半を読んでも思うんですが、真剣に向き合い始めたら自分が全く身動き取れなくなるし、そこから抜け出すのに時間がかかるからあえて見ないようにしていて、それが結果的により大きな壁になってしまった、ということなのかなと。

Jr,時代のシゲだってもちろん必要な努力はしてたと思うし、アイドルと一緒にしたら失礼きわまりない話ですが、こういう気持ちもすごく分かります。
ジャニーズの人たちって、自分を信じて、足りないことをちゃんと正面から越えていくような、まぶしい人ばっかりで、さすがアイドル!という気持ちにもなるんですが、その中で自分の限界を冷静に見てしまったり、自分は平凡だってどこかで思っていたシゲには全くちがう苦労があって、シゲだけに必要な決意と覚悟があったんだろうなと感じます。

■デビューが挫折の始まりだった
 デビューは「ゴールみたいな存在」「選ばれたいって、もちろん思ってた」「(選ばれて)嬉しかった。だけど、実力が足りないのも感じてた」と滑り込んだようなデビューに確信を持てないまでも、「デビューできたんだから、未来あるじゃん」と心機一転努力しようと決意をしたそうです。しかし、デビュー直前に振り付け師さんにとうとう「お前は、甘えてる。実力が追いついてない」「今からでも外せるんだぞ。ひとりで残って練習しろ」と言われてしまい、「時間が解決なんてしない。自分ががんばるかどうかなんだって、圧倒的に気づいた」帰り道にひとり泣いたといいます。

 それでも、不安よりもデビューできるうれしさが勝り、「未来が輝いて見えた」と語ります。しかし、その後、もうひとつの大きな壁にぶつかります。「輝いていたのは、未来じゃなくて俺以外のメンバーだった」と、それぞれの強みが明確なNEWSの中で、自らのキャラクターと、NEWSにおける加藤成亮の存在価値を見つけられない、というすごく大きな問題でした。
 それゆえに、「俺は足を引っ張ってる」「俺がいなければ、NEWSはもっと上にいけるはず」「コンプレックスの塊だったから、“NEWSにいていいのか?”ってずっと考えてた」「(芸能界を続けられないとしても)もうNEWSをやめようとも思った」と苦悩が続きます。

 そして、自分にできるのは、みんなが大変だと思うことを率先してやることだと思い、バレーの応援をしているときに、誰もやりたがらない朝早い仕事に立候補したものの、冗談でマネージャーに「お前はいいよ(笑)」と言われたことが苦悩をさらに深めます。「最初はしがみつこうと思った」と考えていたシゲですが、「人が嫌がることすら必要とされていない。もう選ばれた自覚も責任もなくて、“俺いらなくないか?”ってことばっか考えるようになっちゃって」と、とうとう心はズタズタに。生中継のリハで「メンバーが輝いて見えて」涙が止まらなくなったことも。

 自分自身の問題だったために、悩みを誰にも相談できず、「ついに自分を守ってた虚勢が全部はがれたなって思ってた」と、見たくない自分の姿にも、先延ばしにしていた問題にも、向き合わなければいけなくなります。
 手越さんのインタビューでも、デビュー後に実力不足で苦悩した、とのお話がありましたね。シゲの場合は手越さんとは性格と経歴が違うために、自分が張りぼてだと認めるところから始まり、ずっとずっとこの苦悩の先を探し続け、ようやく結論が出て、前向きになれたのも本当に最近だと思います。

 いつも思うんですが、たぶん、シゲはアイドルじゃなかったらこんなにも苦悩することはなかった気がするんですよね。こうやってインタビュー読んでても、昔から頭よくて理性的な人だし、イケメンさんだし、人間関係のトラウマはあっても、ちゃんと克服してきていますし、一般人だったらあんまり苦労しないで幸せな人生送ってる気がします。この頃に、シゲがコンプレックスに思っていることは、ひっくるめて「アイドルマインド」「タレント性」だと思うんです。特に、シゲは「アイドルマインド」を持っていなかったために、苦悩したんじゃないかな。自分を信じるとか、逆境になればなるほど燃えるとか、ステージに立つためになんでも捨てられるとか、感情をストレートに出すとか、客観的で冷静なだけに、自分に盲目にはなれず、かといってプライドを捨てられるわけでもなく、それがシゲの壁になっていたような気がします。

輝かしいスターに囲まれ、グループのメンバーとして対等に、肩を並べなければならない立場になったからこそ、アイドルとしての差を痛感することになったシゲ。人間としてはシゲってすごく魅力的だと思うし、シゲの人間性が魅力じゃなかったらジャニの難しい先輩たちと仲良くなってないと思うんです。ただ、それがアイドルとして直球の魅力じゃなかったために、シゲは「アイドル加藤成亮の武器」を見つけるためにもがき続けることになったのではと感じています。
 また、+act miniの感想でも触れると思いますが、この頃のメンバーに対するコンプレックスは根深く、今も解消されていないんだろうと感じていますし、シゲにとってメンバーと肩を並べ、さらにもう一歩前に出ることがひとつの目標になっていると思っています。

■ファンレターに背中を押される
「きれいごとに聞こえちゃうと思うんで、あんまり言いたくないんですけど」と前置きをしながらも、「ファンの存在が大きいです」と語ります。ファンレターを読んで、「こんなに気持ちを込めた手紙を、俺は書いたことなんてない」と改めて実感し、「その込められた思いに救われたんです」「誰に、何を思われても“この人たちのためにやるんでよくねーか?”」と思ったシゲ。
 そして、最後に「俺はなんでここまでやってきたんだ?」「ヘタだ、いらねーって思われながらもなんで続けてきたんだ?」と問いかけ、「俺はここにいたいんだ」「好きだからここに立ってるんだ」「誰の意思でもない、自分自身がやりたいからやってたんだって」とひとつの答えにたどり着きます。
 なんだか、ファンのおかげです、で終わらないところがシゲらしいなぁとすごく思います(笑)
 常々シゲは本当にアイドル業に執着がある人だと思っていますが、このエピソードも如実ですね。

■活動休止でNEWSの大切さを実感する
 2006年の活動休止は、ようやく苦悩のトンネルから抜けかけたのとほぼ同時期。かれこれ3年くらいは悩んでいたのかなぁ。想像するだけで辛いですね。
活動休止の時期のことは、「つらすぎてなのか記憶が飛んでる」「“どうする、この先?”とか、いろんな想いがグルグル頭の中を駆け巡って、悲しんでる暇さえなかった」と言います。小山さんとカフェで落ち合ったものの「“こんなことになっちゃったね”って言ったあと、ずっと無言だった」

 正直、他グループのデビューや活躍を見るのは辛かったといいます。そして、活動再開のカウントダウンコンサートがやってきます。NEWSの出番まで楽屋で待っていたコヤシゲ。「山下くんはソロで、錦戸くんは関ジャニ∞で、手越とまっすーはテゴマスで出てた」のを見ながら「俺と小山で、“俺たちなんもなくね?”」と語り合ったといいます。
「ソロでできる実力がないことをわかってたけど、現実として突きつけられたというか。NEWSがどれだけ大事かが改めてわかったし、NEWSに甘えてることもわかった」
「年越しのカウントダウンもふたりっきりで控え室でジャンプして」
「ここにいるのと、ステージにいる差、階にしたらわずか1階の差だけど、圧倒的な差があるんだなって」
と、再開は同時に苦い記憶にもなっています。

しかし、「ステージに上がったときに見えた景色は、一生忘れられないと思う」「待っててくれた人がいたんだって」「お客さんの中には泣いている人もいて。“俺だよ、泣きたいのは”って、ずっと思いながら歌いました」
 時々思うのが、このカウントダウンの記憶がコヤシゲの絶対的な絆の核でもあるし、陰の部分でもあるのかなぁということですね。あとは、この記憶が、新生NEWSに向かう上での、グループに対する特別な思いにも、動力にも、いろいろなことを慎重に進めていった姿勢にも繋がったのかなぁという気もしています。

■「魅力って何?」
 活動休止を超えて、前向きにアイドル業に向き合い始めたシゲですが、思いとは裏腹に今度は個人の仕事がなくなっていき、また大きな壁にぶつかります。「個々の活躍がグループのためになるってことも頭ではわかるのに」「なんで俺にはがんばる場すらないんだって」「でも、どうやって仕事がくるかがわからない」と、メンバーの個人仕事を喜べない時期もあったといいます。
 ライブがあったときにはめちゃくちゃあがっても、終わった後は虚無感がひどく、最初は遊んでばかりいたものの、心の片隅で考えてしまって楽しくない。本を読んだり、ドキュメンタリーを見たり、必死に状況を変える手段を探すものの見つからず。

それを変えるきっかけになったのは、意外にもテレビでのニノの発言。「自分だけ仕事がなくて、メンバーはみんながんばってて、自分に何ができるだろうって悩んでた」と、硫黄島のオーディションをもらうきっかけとなったエピソード。「もちろん、二宮くんは芝居の実力があったから、そこで認められたんだけど」「考えるだけじゃ何も始まらない。大事なのは行動だ」とすぐ仕事がもらえると思わなくても、事務所のえらい人に相談にしてみようとアクションを起こします。

 しかし、そこでは厳しいことをたくさん言われ、中でも「自分の魅力って何」と聞かれたことに一番グサッときたといいます。そして、その問いに答えられなかったシゲは、
「答えられないから、俺は立ち止まってしまったんだってわかった」
「俺はこういう性格だから、その問いには、自信を持って答えることは一生できないと思う」
「でも、“自分の魅力は?”ということを、探し続けなきゃいけないって」
「それが去年の11月。そこで吹っ切れた。“今、走らなくてどうする?”って」
苦しさを受け入れて、大きな一段を上ります。
 その一段を上ったことで「自分の中では生まれ変わった感じがすごいある」
「自分のやれることからやろう」
「そしたら、すっごい最近楽しいんですよ」
「今までは、うまくできないとか、あれができないとか、ないものばかりをうらやましがって楽しめなかったから」
「今は、将来楽しむための準備期間」
「スタートラインに、やっと立った感じです」
道は見えないまでも、進むことだけは決意を固め、シゲなりのアイドル道の進み方を手に入れたような気がします。

■アイドル加藤成亮の覚悟
「“俺なんてダメだ”“どうせダメだ”って思ってた」
「でも、まずは自分を好きになろう」
「自分で自分を殺さないようにしよう」
「俺にとってはJr.時代は大きなかん違いの時期」
「もちろん、それなりの努力はした。でも、それなりじゃダメ」
「勝手に誰かが自立させてくれると思ってたら、絶対に自立なんてできない」
「ほとんどの人は、自分でがんばらないと、努力しないと、花咲かずに終わっちゃう」
「“いつか、いつか”って言ってるだけの人に、いつかは絶対に訪れない」

 ビジネス書とか、啓蒙書もかけると思うよ!と思うくらいの名言ばかり。ずっときらきらしている花々に囲まれて、自分には水をあげても花は咲かない、と思っていたシゲが、花が咲くかもわからず、その花がきれいかもわからないけど水はあげよう、ってそう決心したんですね。 シゲにとって「魅力は何?」って聞かれるほど恐ろしいことはなかっただろうし、それの答えを見つけるために踏み出すのも怖くて怖くて仕方なかっただろうし、シゲにとって、その一歩はどれだけ大きい一歩だったんだろう。なんかもう泣けちゃいます。

「俺、今でも何かの間違いで、この事務所に入っちゃったんだなって思うんです」「だからこそがんばれるというか」と語るシゲ。ジャニーズは手越さんのように「俺はもっといける!」との思いが原動力になるタイプが圧倒的に多いといいます。しかし、コンプレックスだらけのシゲはそうではなく、ダメな自分を好きになろうとの気持ちを原動力に、「人は自分の歩幅でしか歩けない」「“ダメだけど、がんばるよ”みたいな」「負け犬の美学じゃないけど、俺は、足元を見つめながらでいいから、一歩ずつがんばります」と着実に歩みたいとの思いを語ります。

そして最後に、今後の目標について
「今はとにかくガムシャラに走る。なにができるか、どうしたら成果がでるかなんてわからないから」
「将来の夢を聞かれると“60才になってもカッコいいおじいちゃん”って答えてる」
。それはつまり、「現役な人だと思って。その年になっても走る場所がある人、戦う場所がある人ってどれだけすごいか、今ならわかる」

「だから俺は、ガムシャラに走りたいし、走り続けたい」
「いくつになっても、戦う場所を持つ男でありたいから」

ううー、このあたりは離脱の話を聞いた直後くらいだと思うと本当に泣けて仕方ないです。シゲはこの時期からどんな壁があっても、何を言われても「戦う場所≒NEWS」を残したいって気持ちを持っていて、そのために何でもする覚悟を決めたんだろうなぁ。


■まめかんの思う加藤成亮
 このエントリーでは、新生NEWS始動前の“加藤成亮”について書きたいと思います。始動後(つまり今現在)は+act miniのエントリーをお待ちください笑
 
 生い立ちは、納得でもあり、意外でもあり。なんとなく、真面目な家庭で育ったのかなぁという印象は受けていました。あと、ひとりっこなのに鍵っ子って言うのも言われてみたら納得でした。シゲは自立していて落ち着きがあるし、周りに頼られるような役回りなのに、どこかさびしそうで不器用なたたずまいなんですよね。どんなに楽しそうにしていても、ふとした瞬間にどこか少し陰があるというか。
あと、一人で何もかも解決していこうとする、自分で抱え込まずにはいられない傾向も幼少期からなのかなぁとも感じました。

トラウマからか、人と気持ち距離を遠めにとる習慣をつけたからか、相手の好意を気持ち少なめに見積もる傾向もあると思うし(これは自己防衛のひとつかも)、あえて正確な距離感をつかまないようにしているためか、相手から来られる以上に、誰かに甘えたり、メンバーに絡んでいくこともしませんよねー(小山さんは除く)。だから、秩父宮の行動が驚愕だったわけですが(笑)
物事に対するそれなりの器用さ、深く考え込む思考、真面目さ、理性の強さ、客観的な視点、プライドの高さ、繊細さ、素直さ、全部シゲの強みであり、同時に苦悩の渦に巻き込んだ原因でもありますね。

あと、私は、シゲがアイドルを選んだこともすごく不思議だったんです。その答えもぼんやり見えてくるインタビューだったなぁとも感じました。
もともと、シゲは自分がアイドルになれるって思ってる人ではなくて、なれたらいいな〜って思ってる人だったし、本気で目標にしたら辛すぎるから、デビューまではずっとそのくらいのいざとなったら捨てられるくらいの距離感でアイドルをやっていたんだろうなぁと思います。
自分は特別じゃないと思っていたさびしがりで構われたい男の子が、たくさん光を浴び、たくさんの人たちが自分を待っているステージに魅了されていき、デビューをきっかけに、アイドルとしての未来を信じようと考えはじめた時には、辛くても辛くても手放せないくらい魅力的な場所になっていたんじゃないかな。
まっすーと似ているようで、少し違う理由で、ステージに魅了されたんだと思います。

本人も語っていたけど、シゲは永遠にステージに立つことが憧れだと思っている人だし、こうやってアイドルを続けることが夢なんだと思う。
私、シゲはいろんな意味でジャニーズっぽくないというか、ジャニーズとして生きるには生きにくい人だと思ってるんです。それを超えていくための、すべての動力源が「アイドルを続ける」ことに詰まっていると思う。
それが、ほんとに眩しい。

きっと、本人も散々そのことに悩んできて、でも根本的な性格の問題だから、悩んでも解決はしなくて、それでもどうにかしてアイドルを続けるために模索していて、少し前までは資質とグループのバランスも吟味したうえで、あえて王道のアイドルにはならないように違う道を歩んでいましたね。そして、今は4人しかいないから、王道のアイドルになるしかないと決意して、もう一度アイドルらしいアイドルとして歩むと決めて、魅力を磨きなおしています。

まめかんが、そんなシゲの魅力をひとつあげるならば、「自分に自信のない普通の男の子が苦悩しながらも、アイドルとして輝いていくストーリー」ですね。つまり、シゲの生き様が魅力だと思ってます。もちろん、頭の回転や言語センス、素直な人柄もすごく素敵だし、作詞・作曲のセンスも好きだし、文章力も大きな武器だと思うけど、やっぱりこれかなぁと思います(普段は他のところにはしゃいでるけども笑)。

シゲを見ていると、本当は雲の上のアイドルなんだけど、偶像化するには少し人間味がありすぎて、ついついそれを忘れてしまうんですよね(笑)
私は、等身大の青年“加藤成亮”が、普通の人のように悩み、苦しみ、だけども壁を越え、雲の上のアイドルとして周りに負けじと光り輝く瞬間が、本当に魅力的だと思います。だからかなぁ、昔のシゲって儚いけどすごく鮮烈な光、って感じがします。

苦悩も陰もできるだけ見せずに、明るさ100%が正統なアイドルなら、昔のシゲはだいぶ異端だろうなと思います。でも、陰があって不安定だからこそ光がとっても映えるし、ファンも気になって仕方なくて目が離せなかったんだと思う。ファンの方も、陰が濃いからこそ、もっと自信をつけさせてあげたくなるし、文章だったり写真だったり料理だったり、シゲが積み重ねてきたことが評価される瞬間が誰よりも嬉しいし、メンバーに認められていったことも誇らしい気持ちになったんじゃないかな。
私はその頃のシゲも、ファンの方の思いもほとんど知らないから、もちろんすべて想像に過ぎないんだけども(笑)

少なくとも、コンサートで見る限りは、こんなに鬱屈してる人だとは思わなかったし、コンプレックスを抱えているようにも見えなかった。それくらい、わかりにくくてわかりやすい人なんだと思う。
きっとこの頃に、加藤成亮っていうアイドルとちゃんと出会っても、私は、シゲを受け止める自信がなくてファンになっていなかったと思う。それくらいは、重たいアイドルだったろうなぁと思います。

でも、今のシゲに出会って、こうやって少し前のインタビューを読むと、いくつもの大きな壁を越えて、悩んで悩んでどん底見て、一歩ずつがんばるしかないって語るシゲの言葉が、すごく心に響きました。
こんなにたくさんの壁にぶつかって、一つ一つ進み続けて、ようやく今の“加藤シゲアキ”がいるんですよね。この挫折と苦悩の多かった何年もがあって、今があるんだ!ってことをすごく感じました。きっと、新生NEWSを見た時に、本人もファンの方もすごく誇らしい気持ちになったんじゃないかなぁと思っています。

だから、辛くて、立ち止まったときにシゲの姿だったり、言葉に触れたら、次の一歩を踏み出せるようにそっと背中を押してもらえる気がします。
いろんなことを乗り越えながら、夢に向かって、ファンの数歩先を歩き続けてくれるシゲの背中が、いつだって希望を思い出させてくれるからです。
私にとって、アイドル“加藤成亮”は誰よりも応援したくなる人で、シゲを応援することで私が応援してもらっているような、そんなアイドルだと思っています。

変貌を遂げたこれからの“加藤シゲアキ”が、自分の持ってる武器を存分に使って飛躍する姿を、一緒に見て行きたいなぁと、改めて思いました。
ほんと、加藤シゲアキ、オススメです!笑

後半ポエムになってすみません(笑) すごく反省してます。
インタビュー読み終わって、日本を元気にするアイドルって実は加藤シゲアキなのかもしれない!なんてことまで感じました(笑)

シゲがあえてトラウマを全て語ろうとしていたらしく、辛い話が詰まったインタビューなうえに、印象的なところだけチョイスしてるので、これだけ読むとめちゃくちゃ暗い方みたいになってますが、普段はそんなことないので!
明るいところもあるし、常に重荷を背負ってるような顔をしてるわけじゃないし、特にコンサートだときらきらと輝いてるイケメンなアイドルですよ!!笑
まめかんだって、暗いだけの人を応援できるほど心強くないです笑
ただ、私は、シゲのストーリーは武器だと思っているし、苦悩があったからこそ、知れば知るほど底知れない深さがあって面白いアイドルだなぁとも思ってます。

ちょっと辛いこと、悲しいことがあって乗り越えたいときに、Myojoの「加藤成亮」インタビューお勧めです!記事の都合上かなりの明言を泣く泣くカットしてますし、手に入るようならぜひ読んでみてください><
シゲのいいところも、弱さも、10000字読み終わって、読んだ人なりに感じてもらえたらいいなぁと思う素敵なインタビューでした。

そして、前回に引き続き、紙面を送ってくださったNEWS担の先輩に大きな感謝を!
感想や、ご意見、質問等ありましたら、コメントorリプでお待ちしています♪
長々とお付き合いいただいてありがとうございました!

嵐CDデビュー13周年

嵐さんCDデビュー13周年おめでとうございます!
何を書こうかなぁといろいろ迷ったんですが、分からなくなったので一言だけ。

「変わらないでくれてありがとう」

変わってみてよ、って思うこともあるけど、たぶん変わらないから嵐が好きなんだと思う。
嵐がファンのために「嵐らしさ」を大切にしながら活動してくれてることも、最近また感じてます。
嵐らしい枠組みのなかで、「Popcorn」をリリースしてくれたのもすごく嬉しい。
ずーっと聞いてるけど、どんどん聞き込みたくなる、めちゃくちゃ好きなアルバムです。

せっかくなので今日は、久しぶりに開いたBeautiful Worldのツアーパンフから、印象的だった12年目の嵐の言葉をほんの少しだけご紹介
お付き合いくださるかたは続きから!

BWは時期も含めこめられている思いが本当に大きいし、嵐が「嵐らしさ」を大切にしなきゃいけないって改めて思った時な気がしています。
というわけで、12年目の嵐のメッセージです。

■大野さん
「嵐は嵐で変わらず。でも、何か進化したなって思ってもらえるようなライブになればいいなって」
「“俺も、嵐も、変わらずここにいるよ”ってことを伝えたい」

■翔くん
「“嵐が嵐である責任が伴ってきた”と“思いたい”」
「常に、来年のための今年だと思っているから」

■相葉さん
「根本にある“楽しめたらいいな”ってところは変わらない」
「嵐は嵐であるべきだと思う」

■にのちゃん
「そもそもね、嵐さんのコンサートって楽しいものだから」
「楽しいものとはなんぞや?ってことをずっと追求してきたわけだから」

■潤くん
「来てくれたからには楽しんで帰ってほしいし、絶対楽しませて帰しますよ」
「それが、俺らのやるべきことだからね」

「変わらない」を大切にする大野さん、「次の嵐」を見据える翔くん、「楽しむ」が信条の相葉さん、「エンターテイメント」に貪欲なにのちゃん、「アイドル・嵐の出来ること」に向き合い続ける潤くん。

さんまさんの嵐ちゃんSPを見て、大野さんのように今の暴風に戸惑ってる部分もあるし、翔くんのように期待を受け止めて冷静に次の10年を考えている部分もあるんだろうなぁと、そんなことも感じました。
たくさんたくさん背負っている中で、つぶされず、流されず「嵐」を守り続けることを選んだ5人が好きです。

嵐からたくさんの幸せをもらう中で、どうしても戸惑うことや切ないことも時にはあるけども、わたしなりのペースで、わたしなりの方法で、嵐さんの14年目をそっと見守っていけたらいいなぁと、思っています。
嵐さんの14年目が幸せな年になりますように^^

いざッ、Now 全曲紹介

先日に引き続き、「Popcorn」リリース記念エントリー!
今日は2004年に発売されたアルバム、いざッ、Nowの全曲紹介です。
グループ「嵐」として自立したものの、なかなか芽が出ず、というような時期の楽曲ですかね。
音楽性と音楽を通じたメッセージ的には、このアルバムでかなり方向を定めた感もあります。

お付き合い下さるかたは続きから!

いざッ、Now

いざッ、Now

いざッ、Now 一覧

■1.言葉より大切なもの
 コンサート鉄板曲なので、ついつい体が動きますねー!大野さんソロから入るんですが、そのときに、っん「切り取ったメロディー」って小さく音とってから入るのが好きです!さっそくコアでごめんなさい笑
 わたし、この曲すごく好きなんですよね。最後まで疾走感があって、気付いたら聴き終わってる感じが笑

■2.JAM
 もう、前奏からおしゃれ!!めっちゃ好きです。というのも、大野さんの「あ」がたくさん聴けますし、低めのパートを淡々と歌う4人少し高めの旋律で癖を付けて重ねていく大野さんっていう曲の作りがもうどんぴしゃ笑
 あと、潤くんの甘い声もほんとあってますし、めちゃくちゃ上手くなってますよね。あとは、にのちゃんが強弱をつけていったり、歌の技巧をどんどん身に着けているのも分かります。

■3.The Bubble
 これも辛い恋の曲ですよね。深夜2時くらいに聴くとちょうどいいかなって感じの楽曲。始終裏声のメロディーと、翔くんの重たい合いの手とラップの極端な音作りがダウナーな感じを演出しています。すごい洋楽っぽい曲の作りだなぁと思いました。

■4.Thank you for my days
 なんとなく相葉さん好きそう。これは、五月っぽい曲ですね。突き抜けるさわやかさ。前曲から引き続き、めちゃくちゃキー高いですよねー。大野さんのソロめちゃくちゃ難しそう。普通に作ったら普通の曲なのに、少しはずしてくる感じが嵐楽曲だなぁとおもっちゃいます。あと、こういう曲で聴ける、にのあいの優しいユニゾンが大好きです!

■5.PIKA★★NCHI DOUBLE
 この曲も名曲ですし、コンサート楽曲のイメージが強いです。あと、個人的にまだ体の出来てない頼りない嵐が踊ってるPVも印象的。ぎりぎり少年、みたいな、少し脆そうな嵐とこの曲のメッセージがすごいリンクしているなぁと感じます。あとは、嵐のシングル路線の方向がこの曲でだいぶ固まったのかなぁみたいな印象も受けました。わりとその後に通じるような、きれい目なシングルですよね。

■6.keep a peaK
 いや、まず曲名が攻めてますね!!そして、ここでまさかのインスト!ちょうかっこいい!曲名の通り、最初から最後までテンションが高い楽曲。この曲を境に、前半と後半で同じアルバムなのにだいぶ印象が違ってきますね。

■7.EYES WITH DELIGHT
 ギターのカッティングも、シンセっぽい音も、打楽器も、いろいろ使ってて面白いです。あと、Aメロあたりが少し民謡?童謡?的ななんともいえないちょっと聞き覚えのある感じがあるのも面白いですし、結構曲調ががんがん変化していく作りもめっちゃ歌いにくそうですけど斬新だなぁと。
 
■8.RIGHT BACK TO YOU
 これかっこいいですよね。コンサートDVDのダンスとか演出もかっこいいし、大好きです。この段階で大野さん&潤くんハモ(たぶん)が始まってるのも改めて聴くと面白いなぁと思いました。あとは、なんと言っても翔くんのリリック!「明くる晩もまだまだ包囲内 だからって隙あらば逃げる事を理解」とか、コンサート&ファンと自分たちの置かれている状況をシビアに書いてるところが、翔くんらしいし、それを踏まえてAttack it!「明くる晩もまだまだhold me time 絡まってこのまま騒ごうぜ同志達 you see」ってリリックにしていくところもいいなぁと。翔くんの過去のリリックを引用した決意表明が好きでたまりません
 この曲のストーリーが、うそがはがれていくようなシビアな現実の中で「ただひとつ 君 信じる」なので、もういろいろとかっこいいよ!!

■9.RAINBOW
 私のなかではなんとなく相葉さんソング歌詞も曲調も含めて、私の思う相葉さん(表)ってこんな感じです笑 何度聴いても潤くんソロ→大野さんソロ→潤くんソロなんですけど、あってますかね?笑 とにかく初めの潤くんソロがめちゃくちゃ上手くなってるし、この歌割ほんと珍しくないですか?という意味でもいろいろと面白いなぁと。

■10.ハダシの未来
 いたるところで聴きすぎて、大好き!みたいな感じではないんですが笑、それでも自然と体が揺れて踊り出したくなる曲ですね!この曲は大野さんがとにかく生き生きしてて、聴いてても楽しそうで何より!って気持ちになります笑 

■11.優しくって少しバカ
 もうタイトルが相葉さん!声も相葉さん!ソロバージョンまで披露!でも、私の中の相葉さんソングではないんですよね笑 
 そして、相葉担筆頭の二宮さんとのにのあいユニゾン大好きです!あんまり捻っていない曲調で、素直に応援してくれる感じも好きです。なんとなくアニメの主題歌になってそうなくらいの少年マンガ感のある歌詞ですね。

■12.Dear My Friend
 この休日の昼下がり的な、ゆるーい楽曲がいいですよね。なんとなく、にのちゃんソング。またはにのあいソング笑
 1番の大宮のユニゾン&ソロリレーも好きです。にのちゃんと大野さんが対等にソロ歌ってるといろいろほっとします笑
 嵐の歌うゆるーい友情ソングは改めていいですね。ゆるくても繋がってる感じとか、だらだらしてるような空気になれることが大切だったり、そういうのをぼんやりいいなって思える楽曲。

■13.君だけを想ってる
 ちょうアイドルソング!!と思ったら、馬飼野さん楽曲でした。ほんとに、きらきらした笑顔のさわやかアイドルの曲ですね。潤くんソングかなぁ。
 今だったらラブホリ先輩が書いてくれそうな歌詞ですね。っていうと結構分かっていただけそう。
 今聞くと嵐が若々しくて新鮮!!笑 なんだけども、途中の間奏の金管がめっちゃかっこいいし、ちょっと大人!可愛いだけで終わらないのが嵐楽曲なんですね。

■14.チェックのマフラー
 なんだろう、主旋律を奏でている楽器がフルート?金管?耳悪くて分からないんですけど笑、その音が程よい暖かさを演出してますよね。
 大宮ソングですね!出だしのにのちゃんがまだまだビブラート過多でだいぶ揺れているのも、今の成長を感じますね。
 1番も2番もにの→大野さん→にの→大野さんという怒涛のソロリレー!
 大宮って可愛いけども、全く持って可愛いだけのコンビじゃないのに、こういう可愛くてファンシーな楽曲を割り当てられるところが面白いなぁなんて思っちゃいます笑

■15.途中下車
 この曲大好きです!これも疾走感がありますね。嵐さんの等身大応援歌は染みますね。がむしゃらにがんばろう!路線から、大変なときはちょっと休みなよ、それからもう一回立ち上がろうよ!みたいな良い意味で若さのない応援歌っていいですね。大野担的には、フェイクも聴き所です。


最初の「言葉より大切なもの」最後の「途中下車」この二つが似たようなテンションで、アルバムとしてのまとまりがあるなぁと思いました。あと、少し面白いなぁと思ったのが、曲によっては明確に推しているメンバーが存在すること。作詞・作曲を手がけた方のメンバーのイメージが少し分かるようで面白いなぁと感じました。大野さんは八面六臂の活躍ですが、たぶん「JAM」かな。翔くんは独断と偏見で「RIGHT BACK TO YOU」でどうでしょう笑

前作はまだ大野さんの声を使いまくっていたんですが、今回は二宮さんが一気に頭角を現し、大宮を中心に、少しずつ他メンバーのパートや見せ場も増えてきていよいよ嵐楽曲の幅が広がってきたな!という印象を受けました。
曲自体も、年齢と逆行するように、少しずつ等身大の応援歌だったり、嵐ならではの友情を歌った曲だったり、10代に歌っていたバブリーで大人びた恋愛ソングから離れていくのが興味深かったです。いろんな意味で、お膳立てされたアイドル時代の終わりを感じるようなアルバム
改めてアイドルポップと嵐が歌ってきた楽曲とどうやって折り合いを付けていくのか、一般ウケと本格の微妙なラインを探っているような、そんな印象も受けました。
それにしても、いざなう、隠れ名曲揃いのアルバムですし、「One」からはかなり聴きやすいポップ色が強めな楽曲が多くなっていくので、こうやって作り手の方向が明確に出ている一枚は興味深いなぁと感じました。

ざっくりですが、以上で「いざッ、Now」全曲紹介終了です!
お勧め曲等のコメントorリプもお待ちしています♪

How's it going? 全曲紹介

来週には「Popcorn」がリリースされてしまうのですが、アルバム紹介エントリーを全然書いていなかったので、追い上げられたらいいなぁ(笑)
とはいえ、確実に間に合わないので、ゆっくりどうかお付き合いください><

今日は初期の名盤「How's it going?」です。
お付き合いくださる方は続きから!

How's It Going? (通常盤)

How's It Going? (通常盤)

■How's it going?一覧

■1.とまどいながら (album version)
 この曲もアルバムバージョンでインストから始まるんですよね。こういうの聴くと、嵐陣営の「アルバム」を作ろうっていう心意気が感じられます。実はアルバムバージョンよりも、シンプルなシングルバージョンの始まりのほうが好きは好きなんですけども(笑)
 すっごい聞いていたシングルなので、思い出がたくさんあります。大野さんの声を活かしてる楽曲ですし、すこーし若い大野さんの鼻にかかったようなちょっと甘えたソロが印象的。全体的に真っ暗でも明るいわけでもなくて、薄暗くてもやもやした状況から抜け出していこうっていう感じがすごく好きです。明確に光があるわけではないけど、もやの中から踏み出そう、みたいなところがあんまり背伸びしていなくて、いいのかなぁと感じました。

■2.Crazy groundの王様
 この曲調なんていうのかわからないんだけども、前作のアルバム「HERE WE GO!」のビート強めのジャズ・ファンク楽曲とかなり変えてきましたね。ちょっと緩めのテンポでスクラッチとか入ってるのも、なんかすごく好きです。ヒップホップ?ソウル?そんな感じです(笑)
 全体的に、翔くんのラップがきいているからか、リリックがあまりにも翔くんだからか、歌詞も含めてほんと翔くんをイメージさせる楽曲「どれくらい頭よくて 過去が眩しくても 関係ないのさ」とかなんとなく翔くんです(笑) 恋愛ソングかと思いきや、どちらかというと夢や目標に向かう野心を歌っている印象なので、ぎらぎらしてる翔くん像が重なるのかもしれません。わたし、この曲大好きです!

■3.Lucky Man
 もはやコンサート映像しか出てこない楽曲(笑)これシングルカットされていない曲なんですよね。嵐ファンの認知度はむちゃくちゃ高いので、アルバム収録のイメージが薄かったという(笑)
 はうずになると大野さんの声がほぼ完成してますねー。大野さんソロが絶品。なんだろう、C&Rがないのがめちゃくちゃ寂しい(笑)
 翔くんの「ジャジャジャジャーン!!!」がすごい好きです。あと、ずっと「満タンcarなんだ。」は「男の子」だと思っていた人間です。すみません。
 全体的に歌詞の意味よりも、語感を大切にしている感じがあるので、韻の踏み方だったり言葉遊びの仕方がすごく面白いです!

■4.身長差のない恋人
 この曲は大宮ソング!!大野さんとにのちゃんの声が強いっていうのもあるんだけども、身長差ないもん(笑)
 でも、歌詞すごく可愛いですよね。「ゴメン スニーカーばかり履かせて」って。だけど、「空までの距離にすれば 同じさ」「いつもいつもそばで I can feel 抱きしめる Night and day」ってちょっと気にしてるけど、ちゃんと彼女のこと大好きだし、彼女もいろいろ思うんだけどなんだかんだ大好きなんだろうなぁって(笑)
 嵐楽曲にしては珍しく、ちょこっと女の子目線の歌詞があるのも好きですし、ほんと可愛い!

■5.ONLY LOVE
 相葉さんお気に入り楽曲。いまだに相葉さんの音楽の趣味の傾向がよくわからないです。でも、全体的にあまり起伏がなくて気持ちいいテンポで淡々と進んでいくような曲が好きそうですね。大野担的には「古びた写真」「古びた」の歌い方がどんぴしゃです。あとは、フェイクも多いですし、高音もかなりあるのでその辺りもすごく聴きどころです。

■6.嵐のまえの静けさ
 全員がちょっと荒めに歌っているのが、珍しくて好きかもしれません。あとは、「Fly! Fly! Let me fly!」の部分が無条件にのれていいですね。 潤くんの声が上手く使われているし、「輝こう ひとやまいくらじゃNO! NO!」って大きな夢を見ようよ曲なのも好きです。

■7.Blue
 これ翔くんピアノなんですか? だからかもしれませんが、ちょっとかっちりしたピアノ音に、にのちゃんと大野さんのビブラートを大きめにかけてるソロが乗るのがマジメさと揺らぎがあっていいなぁと思いました。べたべたのバラードなんですけど、ちょっとソウルっぽいテイストがあるし、アルバムにちょっと大人の落ち着きみたいな部分があるので、しっくりはまりますね。
 それにしても、大宮とバラードは相性抜群ですね!にのちゃんの声が完成されていない分、せつなさが倍増してます(笑)

■8.Walking in the rain
 この曲すごい好きです。派手さはないんだけども、それだけに楽曲の気持ちよさだったり、ベース音の仕事ぶりだったり、ピアノソロのかっこよさとか、音楽全体を楽しめるような曲な気がします。
 思わず体が揺れるようなテンポで、楽曲ですね。大野さんが踊ってそうな曲だなぁとも思いました。Blue→Walking in the rainの流れもすごく好き。この会場が青いライトで照らされているような感じがいいですね。

■9.パレット
 嵐の得意分野、一見明るいテイストの失恋ソング!相葉さんと潤くんの声が似合う曲ですね。みんなやわらかい歌い方をしていて、それがまた、パレットっていうタイトル通り、色鮮やかな思い出が乾いてしまわれていくような、せつなさに変わっていく漢字。大野さんのフェイク&さくらっぷパートが少し新鮮ですね。面白いラップの入れ方。

■10.できるだけ
 超難易度の高い大野さんフェイク曲(笑)「甘い気持ちが急に苦くなっていく」の大野さんの「あ」がすごく好きです。ここに限らず、大野さんの「あ」「お」の歌声ってほんと絶品ですよね。コアですみません!
「変わっていくことを何故 僕らは恐れるのかなぁ 変わらないものを笑うくせに」というサビもベタな歌詞なんだけど、この年の嵐に歌われるとすごいぐっときます。「できるだけ僕のままで いたいと思う気持ちは」とかも、アイドルが歌うと深いですよねー。

■11.テ・アゲロ
 山っこソング!ちょっとラテンぽい曲調が嵐しか歌わなそうでいいですし、歌詞自体もストレートにちょいエロめ。翔くんの「セニョリータ!」後の「セクシーにーおぉ〜」的なとこの「おぉ〜」のとこがほんとセクシーです、大野さん。今だったらどんな風に歌うんだろうか。ってすごく気になっている楽曲です。

■12.15th Moon
 これも大野さんソロが絶品。ちょっと狼男っぽいイメージの曲(笑) うーん、たぶん、禁断の恋的な片思いのニュアンスと、満月で豹変するよ感があるからだと思うんですけども。ちょっとリズム隊が強め、シンセっぽい音もかなり入っていて、ダーク&ゴシックなテイストですね。歌詞自体も詩っぽい詩で読んでいて面白いです。

■13.どんな言葉で
 この曲好きなんですよねー。翔くんのドスがきいた声がめちゃくちゃハマっていて、夏休みのドライブっぽくて無条件に楽しいというか(笑)
 バラード系とまったく声が違うので、大野さんの表現力の幅も感じましたし、最後の別メロディーを歌って重ねていく作りとかも聞いていて気持ちいいです。
 それにしても、にのちゃの声がまだまだ可愛い!今だったら器用に歌い分けるんだろうなと思うんですが、この曲のにのちゃんは可愛い(笑)

■14.PIKA☆NCHI (album version)
 これもまた、私の好きなドスのきいた翔くんボイスが堪能できる一曲(笑) 翔くんはいつでもごっつい靴履いて尖っていて欲しい派です。
 この曲かっこいいですよ。このアルバムの中では唯一のロックですし。相葉さんも大野さんも曲に合わせて、ロック調の歌い方してて好きですね。


 わたし、このアルバムすごく好きなんですよね。スルメ曲多くないですか?
 中でも「Crazy groundの王様」櫻井翔らしさや、「できるだけ」をリードする大野さんの歌全般がすごくツボでした。本当に聴いていて気持ちよくてノリやすい、踊っても気持ちのよさそうな楽曲揃い、という印象です。
 また、前作のようにあからさまなリズム隊とベース音の強さに頼らなくても、気持ちよくのれる楽曲も特徴かもしれません。前作はファンクとジャズのテイストがすごく強かったのですが、今回はヒップホップテイストというんでしょうか、かなり曲の方向性を変えてきましたよね。こちらのテイストにしたことで、翔くんのラップもすごく活きているし、一気に聴きやすくなったなぁと感じました。

 あと、大野担には嬉しい限りなんですが、大野さんのソロが異常に多い。それくらい、歌では大野さんが軸になっていた時代だったのかなぁと。その期待を背負っていたからなのか、前作「HERE WE GO!」と比べても大野さんの歌が著しい成長を遂げています。今ほどの安定感はないし、曲によっては少し感情が過多ですが、声の印象の変え方もビブラートのかけ方も本当に多彩になっています。一方で、出番の増えたラップ隊長も櫻井翔のラップ」を確立し始めていて、すごく魅力的なラッパーになっているなぁと感じました。というわけで、大野さんと翔くんの努力と成長を感じる一枚と言えるかもしれません。
 
以上、ざっくりですが「How's it going?」全曲紹介でした!
だいぶ大野担らしい感想になってしまってすみません(笑) 

また、みなさんのおすすめの楽曲や聞き方等ありましたら、ぜひ教えて下さい^^ 
コメントorリプお待ちしています♪

アイドル増田貴久のルーツを考える

こんばんは!ご無沙汰しております><
先日、とってもとっても親切なNEWS担の先輩が、「Myojo 10000字ロングインタビュー“裸の時代〜僕がJr.だったころ〜”」の記事を送ってくださいました。
今まで過去のアイドル誌を集める習慣がなくて知らなかったのですが、Myojoはバックナンバーがなくて一度逃すとなかなか手に入らない号も多いんですよね。
優しい先輩に本当に感謝です!!改めて、ありがとうございました。

こちらは、以前NEWSを語るならぜひ読んでほしいとコメント欄でご紹介いただいたインタビューで、おすすめされた通り期待以上にすごく濃いテキストでした。
ちゃんと感想を書きたいと思っているので、このシリーズは少し更新の間隔が空いてしまうと思いますが、必ず書きますのでのんびりお待ちください(笑)

というわけで、今回はアイドル増田貴久が幼少期から今に至るまでの物語を追っていこうと思います。離脱話も少しあります。
大丈夫な方は続きから!

■Myojo 10000字ロングインタビュー
 今までこんなに面白いテキストを放置していたのかと思うと、一年前のわたしは何をしていたのかと(笑)
 それくらい、誰のインタビューを読んでも面白いです。インタビュアーの方は変わらないため、人によって語り口のカラーが違うのがすごくよくわかって、そのあたりも興味深いインタビューでした。
 アイドル誌まじめに読んでおけばよかった!といろいろ後悔してます(笑)
 
 本題の増田さんのインタビューは2011年10月号に掲載
 NEWSの10000字インタビューは2011年の7月号のぴーさまから始まり、手越さん、小山さん、まっすー、シゲアキ先生、離脱後の亮ちゃんへと続いています。
 というわけで、この10000字インタビューを受けているときは、ファンは知らなかったものの、すでに2人の離脱が決まっている時期だったんですね。
 そんなことを考えつつ、増田さんのインタビュー感想スタートです!

■ガキ大将な小学校時代
 ラジオでもちょいちょい出ていましたが、体育と給食が好き!といっていたまっすーらしく、やんちゃで運動が得意でずーっと走り回っているような元気いっぱいの小学生だったようです。
 たぶん、今と変わらない人を幸せにしてくれる笑顔で、クラスを明るくしてたんだろうなぁ。先生たちにとっても、ケンカしたり女の子を泣かせたり、手がかかるけど、どこか憎めないし可愛い生徒だったと思います。まっすーがいろんな人に愛されて、可愛がられて、真っ直ぐ育ってきたのがすごく伝わります

■オーディション
 前日にお母さんとお姉さんから「明日オーディションだから」と知らされる。芸能界には興味がないまっすーがオーディションを受けた理由は、「夢が揺らいでいたから」
 それまで、ずっとサッカー選手になりたいと夢を抱いていたものの、まわりに自分よりもむちゃくちゃサッカーが上手い人が多かった。その中で埋もれてしまいくことに「サッカーちょっとちげーな」と思ったそう。なんとなく、小学生のころのエピソードを見ていると、無意識のうちにどこか注目されていたい、中心でいたいという気持ちを持っていたんじゃないかなぁと感じます。

 あと、中心でいたいってことに付随して、潜在的に誰かを楽しませたい、みたいな部分も強い子だったのかなぁって。
 クラスのガキ大将に収まるような子って、運動+笑いが取れる子が多いと思うんです(まめかんの勝手な法則)。増田さんはあんまり意識してなかったのかも知れないけど、周りを笑わせる力を持ってたり、楽しませるのが好きな人だったのかなぁと。

 乗り気じゃなかったオーディションも、いざ受けるとなるとお気に入りの服で気合を入れ、「合格と不合格だったら受かりたい」「踊ったことなんてなかったから、すげー楽しかった」と語るまっすー。
 物事にポジティブに入っていく姿勢と、何かを始めたらきちんとやり遂げたい、という思考はこのころから強かったようです。

■金八と大河ドラマ出演は強運と語るJr.時代
 Jr.時代は順調じゃなかった、という。「もっともっと出たい。でも出れない。そんな状況が3年続いた」。出番が少ないことに悔しい思いをしながらも、たとえ数曲でもコンサートに出られるのはみんなで作っている感じがして楽しくて、学校や部活の延長のみたいだったと語る。
 そんなまっすーの転機は「2001年のPLAYZONE」。東山さんの後ろで躍らせてもらって、本気でダンスをやりたいと思ったまっすー。そして、PZで知り合ったJr.から金八のオーディションの存在を知り、自分も受けたい!と社長に直談判。そして、この直談判はまっすーにとっても異例のこと。

「僕にもやらせてください」とか「チャンスをください」と言うのは好きじゃないと語る。その思考の裏には、「周囲が認めたから与えられるのがチャンスだと思う」と、まっすーの哲学が。この考え方が、増田さんのアイドル業の向き合い方にすごく反映されていると感じます。だから、一見アイドルらしいところが強みに見えるんだけども、考え方や仕事への取り組み方はどこか職人気質で、実はその地道な努力がまっすーの武器になっているんだろうなぁと。NEWSコンのバックについていた(詳しくないのですがたぶん職人気質の)Jr.と意気投合したのも納得です。

 そして手に入れた金八出演。そして、金八の収録でNHKのリハに遅れたのがきっかけで、大河ドラマのプロデューサーとすれ違い、「武蔵」出演も決まる。
 シゲアキ先生のピングレを凌駕するシンデレラストーリー

■NEWS抜擢へ
 事務所で他のJr.とカラオケをしていた増田さん。それをたまたま社長が聴いて「ユーの声、おもしろいよ」「歌を歌ったほうがいいよ」と歌をほめられたことをきっかけに、歌が好きになって練習をするようになった。そして、同時期に社長に歌の上手さを見込まれた手越さんと、一緒に歌うことに。
 NEWSが結成したときに「デビューができる!」とうれしかった増田さん。その一方で、デビューしたいという気持ちが100%になってるときじゃなくて複雑だったと語る。NEWSのメンバーはJr.の各グループのエリートが入ってきたという印象で、エリートじゃない感があり、少し居心地の悪さを感じていた。あとで聞いたら集められたときに「あれ? まっすーがいる!」と、メンバーも少し驚くような抜擢だったという。
 
■コンサート・ファン・NEWS愛
 増田さんはJr.時代を長く経験しているからか、アリーナに自分が立つ重みをかみ締めて、アリーナツアーのラストで号泣
 NEWSのコンサートに関するエントリーでも書かせてもらったのですが、増田さんの「ファン目線」って、彼のJr.時代に培われたんだなぁと改めて感じました。私は、増田さんの「ファン目線」があるからこそ、NEWSコンだったり、これからのNEWSにすごく信頼をしながら見ている部分があります
 たくさんの人が、わざわざ自分たちを見るために集まってくれている奇跡、バックでついていた場所で今度は自分たちがコンサートができている重み「エリートじゃない」という増田さんだからこそ誰よりも強く感じることであり、Jr.からいままでずっと、大切にしてきたことなんだろうと感じます。

 そんな増田さんにとって、ファンの存在は大きいという。Jr.のころや、成長していく過程を見てくれていた人がいて、全部知ってくれてる人に支えられている一方、最近ファンになってくれた人もいて、ファンの人たちと一緒にキラキラした思い出を作ってくために、ずっと成長してもっといいものを届けていかなくちゃって気持ちと責任がある、と語る増田さん。
 そして、話はNEWSのことへ。芸能界をやめようと思ったことはないけれども、悩んだことはあるという。増田さんにとって、NEWSは初めてのグループ。デビューのよろこびはもちろんあったけども、何よりも「NEWSの一員としてグループを組ませてもらえること」がうれしく、「NEWSって俺にとって掛け替えのない存在」「NEWS愛や思い入れは誰よりも強い」「メンバー間で小山以外とは全員とケンカしたことがあって」「それくらい真剣にやってるってことだと思う」とNEWS愛を語る増田さん。

 インタビューを読んでいても、人と何かを作るのが好きで、共に作ることに達成感を感じる人だと思うので、初めてできた大切な仲間、自分の居場所、共にステージを作る人、いろんな意味ですごく愛を注いできたんだろうなぁと感じます。きっと、離脱報道後、先行きがわからない中で、増田さんのNEWS愛もファンの方の支えになったんじゃないかと思いました。
 その一方で、NEWSが活動休止してたときはしょっちゅう泣いていて、前向きなことを言いたいけど、どうなるか自分でもわからないから具体的なことを言えなくてつらかったと語ります。心配性だから、不安やつらさと正面から向き合えず、最終的には個人としてのステップアップを考えて、ダンスや歌のレッスンに力を注いだといいます。
 今見るといろいろ考えちゃいますね。でも、この活動休止が、まっすーにとってグループやメンバーへの愛情と思い入れを再確認する機会になったのは間違いないですし、今回の離脱も同じく、NEWSのグループ全体としてのまとまりを生んだ日々なんだろうと感じました。

■楽しさがすべて
 Jr.時代に「もっと出てー」と思い、その満たされなさや悔しさが、「やりたい!」と強く思う気持ちを育ててきた。あの時期があったから今がある、と語ります。また、Jr.時代にいろんな先輩に可愛がってもらったり、認めてもらったり、先輩の背中を見て、先輩とのひとつひとつの思い出を大切にし、刺激をたくさん受けた日々だったんだろうと思います。
 そして、エリートじゃない人間に必要だったのは「たとえ一曲でもステージに立っているとき」「今がいちばん楽しい」と思えるかどうか、と話します。また、増田さんにとってステージを初めて楽しいと思ったのは、いちばん最初のコンサート。「お客さんが、本当に楽しそうな顔をしてるのを見て、すごくうれしくて」小さな増田さんがステージから見た笑顔、歓声、光。きっと忘れられない光景なんだろうなぁと。

 最近観る側としても、アイドルのコンサートって特殊だなぁと思う機会が結構あります。直接話したこともない人を見て、時には遠いときもあるけれども、それでも泣きたいくらい幸せで、心から嬉しい気持ちになって、自然と笑顔になっていく。こんなにお客さん全員が全身で好きだよ!楽しいよ!ってステージに伝えて、アイドルも全力でお客さんに応えてくれて。こんなに好きが溢れている空間ってそうそうないと思うんです。

 きっと、それは、アイドルにとっても本当に特別なんだろうって感じます。自分たちをすごく好いてくれる人がたくさん集まって、初めてコンサートができるわけで。でも、誰かにとって特別な存在になることも、心から好かれることも、普通に生きていたらそんなに多くないじゃないですか。アイドルとしてステージに立って、楽しそうなお客さんを見るたびに、アイドルだから経験できる特別な幸せを感じるんだろうなって、その瞬間が何よりも好きな人たちが、こうやっていろんな苦労をしても「アイドル」をしてるんだろうなって、そんなことを思います。

 こうやって見てきて、エリートじゃない、と感じながらも増田さんがジャニーズを続けたのは、自分に才能があるとかデビューできるとかそういう計算はなくて、「アイドル」に病みつきになったからなんだろうと感じています。だから、誰よりもステージの重みにこだわるし、お客さんを楽しませることに真摯な人だし、「ステージ」に立つための努力は惜しまない人になったんだなぁと。
 きっと、増田さんがそうやって続けていくうちに、いろんな素敵な出会いがあって、思い出ができて、仲間ができて。増田さんにとってJr.の仲間も、NEWSのメンバーも増田さんに必要不可欠な居場所になっていったのかもしれません。また、自分の思いを大切にして、真っ直ぐに打ち込んでいけたのは、増田さんの素直な育ちがあってこそだとも感じています。

■現状維持
 増田さんの好きな言葉は「現状維持」心の状態を保ち、初心を忘れずに臨みたいとの思いがこめられている。常に新しいことへの挑戦を求められるアイドル業。だけども、評価するのは自分ではない。だからこそ、目の前のことを全力でやり、「楽しむ」。このあたりの思考は、二宮さんとも近しい部分があったりもして、すごく面白いなぁと感じました。
 たぶん、増田さんはJr.時代からどっぷりジャニーズやアイドルに浸かっている人で、アイドル業が他者から求められて成立することだったり、今の仕事が評価されなかったら、次の仕事には絶対に繋がらないことも肌で感じてきて、だから「今」どれだけ力を尽くせるかを大切にしたいって考えになるんだと思います。

 自分は決してエリートではなく、強運が導いたと語る増田さん。でも、運だけではチャンスをつかむことはできず、増田さんが努力したからこそ、チャンスをつかむ土俵に上がったというのは本人が語る通り。そして、このインタビューでは何度も「楽しむ」重要性を語っています。というのは、増田さん自身が「楽しい」ことに対して、際限なく継続して努力できる人だから。楽しいことを続けていく中で、何かが実を結び、結果に繋がる。そのあたりが、本人の言う「大器晩成」の部分なんじゃないかと感じます。
 増田さんにとって、物事と真剣に向き合ったり、成し遂げるためには、自分にとって楽しいかどうか、楽しめているかがすごく重要な要素で、好奇心旺盛な増田さんが一生この道を歩みたい、と病み付きになるほど楽しめる職業が「アイドル」だった。そんな運命的なことまで感じてしまいました。

■まめかんの思う増田さん
 子供のころの増田さん像はぼんやりと想像していた通り。ほんとうに愛されて、すごく素直に育った方なんだなぁという印象はさらに強まりました。

 増田さんの特徴の一つ目は、かなりの職人気質。好きなこと、得意なことにはとことん打ち込む印象は強かったのですが、たぶん、NEWSでデビューしてなかったら今頃技術力の高い職人ジャニーズとして名を馳せていたんじゃないかと思うくらい職人気質。心配性な性格もそれを後押ししたのかもしれません。増田さんのJr.時代の露出も、本人の語り口から、ドラマ以外は実力と共に少しずつステップアップしてきた印象を受けました。淡々と努力を続けて、次の舞台に立つのを待っているような、そんなJr.だったんだろうなと。私にとって増田さんってすごくアイドルらしい人でしたし、経歴も派手に見えたので、突如大抜擢されるようなスター路線を歩んでいなかった、というのはこうやって聞くと意外でした。でも、その下積みの濃さジャニーズにすっかり染まっているところが増田さんの武器だと思いますし、これでとんとん拍子にいっていたら地に足のついていない人になっていたような気もします笑

 次に、「楽しませることが楽しい」「誰かに注目され必要とされること」もモチベーションになる人なんだろうと感じました。
 前者に関してはもともとそういう気質を持っていて、初めてのコンサートで一気に開花したような印象。後者に関しては、誰もが持っている感情だと思いますが、きっと生まれつき可愛がられて注目を集めて育ってきたから、その傾向が強めなのかなぁと。特にJr.時代の増田さんにとっては、人から評価されることがすごく大切なことだったり、やる気に直結していたと思いますし、今でもファンの人の声だったり、何らかの他人の評価や励ましが増田さんのモチベーションに繋がっているんだろうと感じました。
 この、「他者からの評価」を無意識に重視している点が、増田さんの「他人から見られる」ことへの敏感さに繋がっていて、さらにはアイドルらしさ、芸能人らしい部分を生み出している源だと納得しました。

 最後に「アイドル」に対する尊敬。これも増田さんの核じゃないかなと感じています。ジャニーズの人たちの半数以上はどこかで、アイドルである自分にすごく違和感を抱いたり、アイドルらしい振る舞いに嫌だ!と思う時期がある気がするんです。でも、増田さんはずっと「アイドル」として人を喜ばせている先輩たちの仕事を尊敬していると思うし、そんな先輩と同じ「アイドル」「ジャニーズ」の一員である自分、そこで必死で頑張っている自分にもずっと誇りを持って活動してきて、いつだって胸を張って「アイドル」だって言ってきた人なのかなぁという気がしました。
 増田さんの「アイドル」への尊敬は、ひっくり返すとアイドルが成立するように支えている、ファンへの感謝に繋がると思います。だからこそ、ファンの存在自体にも、ファンの人がアイドルをすごく大切にしていることも、ファンに寄り添って感じてくれる人なんだろうと思います。
 最近はジャニヲタのジャニーズも増えていますが(知念師匠とかラブホリ先輩とか)、増田さんも意外に似た要素を持っているんじゃないかと考えています。
 だからこそ、誰よりも「アイドルらしいアイドル」でいようってしてくれるんじゃないかなって。トイレ行かないとか、恋愛の話はしないとか、女子ドルよりも古典的なアイドルでいてくれようとするんじゃないかなーと(笑)

 
 増田さんは、これからも自分の私生活や内心についてはあんまり語りたがらないと思います。なんせ、スーパーアイドルなので(笑)
 だからこそこうやって、増田さんが過去を振り返ってルーツを見せてくれるインタビューはとても新鮮に感じました。

 まめかんの思う増田さんの魅力は、幼少期とJr.時代で増田さんなりのアイドル美学と仕事やファンへの向き合い方がきちんと確立していて、それがほとんどぶれないところです。だから増田さんを見ると少しほっとするというか、安心するんですよね(笑)
 アイドル増田貴久はいつまでもずっと「まっすー」でいてくれるだろうし、「まっすー」としてたくさんたくさん成長して、大変なときも「まっすー」は明るい笑顔で幸せをくれて、私たちに思い出ときらめきをくれるんじゃないかな、ってそんな気持ちになるんです。だから、「まっすー」が一度特別になってしまったら、いつまでもついていってしまうだろうなぁと。そんなことも思います。
 上手く言い表せないのですが、増田さんが「現状維持」を大切にしてきたから感じることなんだろうなぁ、とぼんやり考えています。

 2012年の増田さんがツアーパンフレットで言っていたのは、「そっと背中を押せる存在」になりたいということ。
 そんな増田さんのアイドル観を感じられる10000字だったと思います。 

 以上、増田さん10000字インタビューの感想でした!
 まとまってなくてすみません><
 ロングインタビューはこれと、最近出た雑誌類しか目を通していませんので、あくまでもそんなまめかんが思う増田さん、と見ていただけると幸いです(笑)

 この記事、すごく興味深かったので、10000字インタビューや増田さんに関して、ご意見やご感想等ありましたらぜひ!
 コメントorリプもお待ちしています♪

鍵のかかった部屋感想(物語編)

国際ドラマフェスティバル「MIPCOM BUYERS’ AWARD for Japanese Drama」の受賞おめでとうございます!
http://nab.or.jp/drafes/press/pdf/drafespress20121009j.pdf
鍵部屋BD週間1位おめでとうございます!
http://mantan-web.jp/2012/10/17/20121016dog00m200052000c.html?mode=pc

いろいろと鍵部屋のおめでとうごとが続いています。

というわけで、鍵部屋の感想後編。お待たせしました!
言い訳すると、この作品はセリフがかなり読み解きにくいんです。

作品全体で登場人物たちの解釈を視聴者に投げているところがあるために、概ねのストーリーは全員がわかるものの、細かい描写はあえて解釈が何通りも浮かぶようなゆるーい描き方をしているんですよね。
なので、筋が通るようで通らないようなそんな解釈ばっかり浮かんできました。そういうところが好きなんですけど(笑)
注目する部分はそこまでぶれてないと思いますので、みなさんがご自由に解釈してください!

言い訳ばっかりなのでお気付きの通り、今回は大苦戦
ネタバレ大丈夫な方は続きから!

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■榎本径はどんな人物だったのか



■榎本の感情を読み取る
 最終話を見終わった感想は、「贅沢!!」でした。
 人を拒絶するようにほぼ無表情&淡々と早口でしゃべっていた榎本さんですが、人間嫌いなわけではなくて、対人関係が不器用なだけで根はすごく優しい人だということが明らかになっていきました。さらに、芹沢・青砥に慣れるにつれてすこーしずつ感情も豊かに、わかりやすくなっていきました。鍵について話しているときは嬉しそうとか、恋バナには動揺しちゃうとか。
 青砥に対しても恋愛感情があるのかもしれない、くらいには進展してきました。

 視聴者は3ヶ月かけて、榎本さんがデリカシーはないけど不器用な優しさや純真な部分も持っているだろう、ということに気付き、ミリ単位の微妙な表情やしぐさ、抑揚から感情の変化を読み取れるようになっていきました。
 大野さんならではの微妙なさじ加減と、表現だったと思います。慣れるとぎりぎり読み取れるレベルなんですよね。なので、真剣に見た人ほど、榎本さんの変化に気付き、榎本さんの言葉にしていない裏側まで知っている気持ちにさせるんです。つまり、青砥と似たスタンスに視聴者を持ってくるための3ヶ月だったんだと思います。

■最終話でまさかの裏切り
 多分、見ている人のほとんどが「えーっ!!!」と思わず叫びたくなったラスト。
 それまでの榎本さんは、第一話の鍵オタクで人には興味がなく冷たそうなイメージを覆し、意外と相手の気持ちには敏感で、やや純粋で根は良い人だけども対人関係が不器用なため冷たそうに見えて損してる人、みたいな部分を見せていきました。
 しかし最終話で、実はしたたかで証拠を残さない犯罪者なの!?という結末しか想像できない、怪しすぎる個人プレーをし、あくどい笑みを浮かべながら青砥と芹沢のもとを去っていきます
 10話までで榎本さんの素を見た!と思っていた視聴者は、最後の最後で榎本さんに手玉に取られていたことに気付き、私の見ていた榎本さんのどこまでが演技だったんだろう?と底知れない不安を感じます。

★榎本人物像に関する当日のツイート
・芹沢と青砥に対して心開きつつあったように見えた榎本さんは本心か、演技か。一番気になる。でも、わざわざ連絡とったってことは、一応繋がっていたいって気持ちはあるんだよね?
・三ヶ月、榎本さんの手のひらで転がされていたわけで。青砥に動揺してる!!みたいなのも榎本さんの演技なのか。悔しい!したたかで悪い男だけど忘れられない人。成瀬先生をひっくり返したような見せ方だなぁ。
・正直オチがきれい過ぎて困る。でも、続編で原作榎本と芹沢青砥の関係を見たい。いよいよ手玉に取る榎本の登場……!



■読み解く鍵は最終話にあり

■最終話の椎名(佐藤)V.S.榎本が示すものとは?
 私は最終話でようやく、「鍵のかかった部屋」の核は「密室を解き明かすパズルミステリー」ではなく、密室トリックに象徴される犯人たちの心の闇を暴くことだった、と作り手の意図する見方に気付き、ドラマとして作りこまれている!とおおいに感動しました。
 そんなわけで、最終話を読み解くことで榎本像に近づけるんじゃないかと思っています。

■最終回の対峙シーンのセリフ
 実はダイヤではなく、両親を自殺に追い込んだ原因の社長を殺害することが本来の目的だったと明かす椎名。
「どうせ殺すなら、ついでにあのダイヤも貰っておこうと思ったんだ。
 そうすれば世界が変わる。新しい人生を始めることができる。
 ダイヤを手にすればガラスの向こう側へ行ける。
 高級なスーツを着て、磨きぬかれた革靴を履いて、金が無ければとても手の届かないようないい女を口説くことだってできる。君のことは調べさせてもらったよ。
 君になら分かるだろう?俺の気持ちが」

「それでガラスは越えられたんですか?
 僕には そうは見えません」

「君にはどう見える?」

「前後左右。それから上下まで、ガラスに囲まれているように見えます。
 僕はガラスの箱に閉じ込められるのはごめんです。
 たとえ向こう側に行けないとしても、自由でいたいんです」

 
 かたき討ちを果たし思いを吐露する椎名の圧倒的な熱と、つぶやくような「自由でいたいんです」に内に秘めた思いを込める榎本
 長いのにずっと緊張感があって、素晴らしいシーンでした。

■似ているようでどこか違う椎名と榎本
 椎名は榎本の過去を象徴する存在として描かれていました。
 エリートコースを予定されていたはずが両親の死によって一気に薄暗い人生を歩むことになった椎名。そして、自らの欲望のために両親を自殺に追い込み椎名の人生を変えたにも関わらず、椎名の顔すら忘れ、見下しているベイリーフ社長に憎悪を募らせていき、とうとう復讐に走ります。
 榎本も誰にも話せない暗く、犯罪のにおいのする過去を持っているだろうこと、そして殺したいほど憎い誰かがいたこと、今も何か犯罪に関わっていることを想像させる設定でした。

 生い立ちは似ていると思われる椎名と榎本。しかし、2人は違う立場にいる人間でした。
 それをにおわせる演出の代表例が「靴」
 ドラマ放送中にも指摘がありましたが、「靴」が立場を表す重要な象徴になっていました。ぼろぼろのスニーカーを履く椎名と磨かれた靴を履いている他の登場人物。
 椎名は榎本を「こっち側の人間」と称しましたが、靴を見る限り、榎本は「ガラスの向こう側人間」に近いことがわかり、椎名と榎本の対峙は終始榎本が優位に立って進行していきます。
 また、「ガラスの向こう側」に行きたい椎名と、自由を犠牲にしてまで行きたくない榎本。彼らは一見似ているけども、違う決断を下します。

■椎名と榎本の違いはどこから生まれたのか 
 1つは、殺人を犯したかどうか
「殺人だけは何があっても行わない」榎本が平和に、そして良心の呵責にさいなまれることなく生きていくため、自らに課したラインです。
 これまでも榎本は一瞬の激情や、自らの幸せを求めて殺人を犯した犯罪者たちに一切肩入れをしていません。それどころか、殺人者への忌避を感じさせる瞬間がありました。完全に想像ですが、殺人を犯してしまったら、もし逮捕をされなくても窮屈な一生になること、人の命の重みを背負って生きていく辛さをリアルに想像し、感情を抑えつけて必死で「殺人NG」の枷をかけたんじゃないかなぁと。
 そんなわけで、先のことを考えずに浅慮で殺人を犯してしまう人や身勝手さがあらわになった瞬間に、少しだけ榎本の素の感情が垣間見える気がしています。

 2つ目は、椎名は代替可能な人間(清掃会社の椎名の扱いから感じること)であり、榎本は代替不可能な鍵の専門家、という違いだと思います。
 榎本はその専門性ゆえに、ガラスの向こう側には行けなくても、軽んじられないくらいの重みを持ち、芹沢・青砥とチームを組むことも可能でした。榎本にとって鍵や錠について極めていくことは、より強い武器を手に入れることを意味します。
 専門性を持っている、代わりのきかない人になることで、自らの専門に関わる事柄に関しては榎本は誰とでも対等に渡り合ってこれたのであり、椎名と並んだ時にどこか優位な印象を抱くのだと思います。
 ただ、2人が違う選択をする理由は彼らの優先順位の違いから生まれるものであり、立場の違いが影響するとしたら榎本の方がより「ガラスの向こう側」の実態を知っているために、マイナス面に気付いている点だと考えています。

■ガラスの向こう側は何を意味するのか
「ガラスの向こう側」は本来椎名が歩んでいるはずのエリートの生活を象徴する言葉です。
 もう少し言葉を尽くすのであれば、エリートのほかに「人を使う/尊重される/名のある人」との印象。ただ、エリートとして特別な存在になった人には相応の責任やしがらみもあれば、自分たちの薄暗い過去を掘り返されるリスクも圧倒的に高い。そのマイナス面を榎本は重く考えていますが、椎名はそこを深刻に考えていなさそうです。
 逆に、ガラスのこちら側は、「人に使われる/軽く扱われる/名のない人(職業・役割で呼ばれる)/代替される人」との印象。どこかで日常を支えている彼らは、何事にも縛られずに生きたいと思えば、それに近い人生を歩むこともできるでしょう。
 どんなことをしても「ガラスの向こう側に行きたい」椎名に対し、ガラスの向こう側に行くよりも自由でいたい榎本
 類似している椎名にとって「名誉や成功」が何よりも重要だったことから、榎本にとっても「ガラスの向こう側に行くこと」は無視できないくらい重要なことなんだろうと思います。

 また、椎名が「ガラスの向こう側」に行きたい理由として「いい女と付き合う」と述べています。わざわざそんなセリフを入れてきたところから、(多分椎名よりも早々と)エリートの道を諦め達観していたはずの榎本が「ガラスの向こう側」に行きたい、と考える理由に青砥への恋心があるんじゃないかと思っています。
 鍵部屋ワールドの中でも特に「純粋・正義・光」を象徴するエリートが青砥純子のわけで、榎本は「ガラスの向こう側」に行くことで青砥と釣り合う自分、を少し想像したんじゃないかなと思っています。

 しかし、それよりも榎本は「自由」を選びます。榎本にとって何よりも優先度が高い「自由」。彼は「自由」を得るために他のすべてを捨てられる人なんだろうと思います。
 これが榎本の性格や思考、すべての核になっています。

■ガラスの密室とガラスの箱
 最終話の冒頭で芹沢と青砥は「ここには一見、密室なんて存在しないかのように見えます」から始まるテーマ提示部分で、榎本が無意識にガラスの密室を作り上げ、閉じ込められていたこと、榎本は芹沢と青砥にこの密室を残して去っていたことを述べていました。
 一見心を開いたかのように見えた榎本がのちにまさかの行動に出ることから、ガラスの密室とは、一見何もないように見えて、実は透明なバリアーで覆われ、誰にも触れることのできない榎本の内面、と解釈できると思います。
 ここにきて、タイトル「鍵のかかった部屋」は榎本の心を象徴し、榎本が2人に心開くかどうか、が根底のテーマだったことがようやくわかるわけです(笑)
 
 一方、ガラスの箱。密室と箱。大きさは違うけれども、象徴しているものは同じく、誰かに触れさせたくない内面だと思います。
「ガラスの箱に閉じ込められるのはごめんです」とありますが、箱の方がより窮屈で身動きが取れず、自ら閉じたガラスの密室に対し、周囲によって無理やり閉じ込められるような印象を受けます。
 さらに、榎本が「閉じ込められるのはごめんです」というところから、すでに閉じ込められた椎名だけでなく、榎本もまだ閉じ込められてはいないけど、このままだと閉じ込められるかもしれないと危機感を感じていると分かります。

 榎本は長年何か(たぶん殺人)を我慢してきたことで閉じ込められることを防いできたものの、弁護士たちに出会って再度閉じ込められるような危機感が生まれたと考えられます。
 前者の説明は、少し前に書いた椎名との違いと被るので割愛。
 後者は、芹沢・青砥と親交を深め、チームになってしまったら、ガラスの向こう側にある世界のルールに従って生きることになる、ことだと思います。その時榎本は、窃盗(あるいはほかの犯罪?)をした過去の自分を偽り、自らが生まれてからずっとガラスの向こう側にいるような顔をして生きていくことになります。ガラスの箱に閉じ込められるエリートや善意といった光(らしき場所)に囲まれて、自分を押し殺し偽りの中で生きていくということなんだろうと思います。

 また榎本が自らの闇を隠したい相手であり、榎本にとって「ガラスの向こう側」の象徴は青砥純子(あとちょこっと芹沢)です。なので、青砥と付き合う(恋愛感情を示す)ためには、青砥の信頼を裏切れない息苦しい日々が待っていることも意味しています。
 
■去っていく榎本
 榎本がダイヤを盗んで逃亡しない限り、今までのように好きな鍵と錠と戯れ、ほどほどに仕事をし、たまに弁護士たちがやってきてお茶を飲んでいくような日々が続くはずでした。警察の調査が入っても決定打はなかったわけですし。
 でも、榎本は全てを捨てて離れることを選びます。理由は上記の通り、弁護士たちに付き合う中で、「ガラスの箱に閉じ込められる」危機感を抱いたからです。けれども、これも半分くらい榎本さんが建前にした理由かなぁとも感じます。

 本当は、榎本は2人に情がうつってしまい、それまでの価値観を捨てて息苦しい日々を選択してしまいそうな自分が感覚的に怖かったんじゃないかなと思っています。うーん、なので、言葉に落とすと分かりにくいけども、榎本さんの感情的には、ガラスの箱に閉じ込められる危機感というよりも、かたくなに閉ざしていたガラスの密室を開けられてしまうことにおびえた上での逃亡なのかなぁと。

 最終話までは、青砥・芹沢との出会い&様々な密室の解決をきっかけに、今までとは違う自分を発見「ガラスの向こう側」に行くことに心惹かれていく話でした。しかし、椎名と対峙する中で、本来の自分をまざまざと見せられ、榎本は光(たぶん青砥)に全てを晒せない自分に気付いてしまいます。
 本来の自分に戻ることを選択し、「自由でいたい」と最後の判断を下します。この時の切なくも穏やかな表情と声は、ずっと続いた葛藤を終わらせて選択をする安堵と、変わらない自分でいられる安堵を表現しているんじゃないかと。

 そして、彼らに真相をぼんやり感じさせるように泥棒らしい仕事をし、空港で電話を掛けます。最後のニヤリは、2人に電話しても心が揺るがず、決別し、元に戻れた自分に満足したからなのかなーと感じました。
 が、榎本は本当に彼らに未練がなかったら電話しないと思います。なので、決断して離れたものの、真相はグレーで、少しは繋がっていたいし帰りたい気持ちも残ってるんじゃないかなと考えています。

■全体の感想
 ミステリー部分はすごくフェアでさっぱり解決されるのに、ストーリー部分は全体的に視聴者に解釈をゆだねるような、親切すぎない作りがドラマらしくてすごくよかったなぁと思います。

 榎本の手のひらで転がっていた3ヶ月を思うと、すごーく悔しい!
 当日のツイにも書きましたが、役の作りとしては成瀬先生を裏返したような見せ方で、そのあたりもちょっと面白かったです。
 とはいえ、正直ここまできれいにオチをつけられると、もはや言葉が出ない(笑)
 
 ここで終わるのがきれいなのはわかってるけども、いつかSPか映画化を!待ってます!貴志先生の新作に期待(じっくり書く先生だけども)してます!!
 ついでに、原作のもうちょっと大人であくどい榎本径で戻ってきてくれると嬉しい!!笑

 セリフも演出もじっくり見返したくなるような、あざと過ぎず、分かりやす過ぎずな作りですし、いろいろ発見や解釈の仕方のある面白い作品だと思います^^
 最終話まで見て榎本さんの裏切りに絶句した後は、榎本さんの動きに悶え、純子ちゃんの可愛さに悶え、せりーのお茶目さに悶えながら2週目を見たり、そのあと映像に見慣れてきても細部まで目を配ってみたらまだまだ面白い演出あると思います。
(大きい男性陣と小さい大野さんとか、椎名と榎本のシーンで2人がどの位置で対面しているか等々)

 こんなにめんどくさく考えなくても、エンタメ作品としてすごく面白く見られる作品ですし、スタイリッシュでドライな世界観が確立している点も新鮮でした。演技面でも大野さんの繊細な役作りが非常に活きていて、大野さんだから榎本が魅力的なキャラクターに育っていったと思うので、魔王のように感情をあらわにしない分、よけいに大野さんの演技や役作りの仕方が堪能できた気がしています。他にも身体能力とか手のアップとかも本当手フェチにはたまらなかったです(笑)

 もちろん、青砥役・芹沢役の2人の演技も見どころたっぷりで、2人のキャラクターが大好きになりました!!本当に素晴らしかったです。
 そんなわけで、私は名作揃いの大野さん主演作の中でも「鍵のかかった部屋」はダントツに完成度が高い作品だと感じています。
 一見あっさりに見えて、かなりのスルメドラマなので、BOXを買っても損しないと思います!(特典映像もついてきますし)
 BD週間一位も納得ですね♪

 まめかん的な解釈はこんな感じですけど、日数かけてもしっくりこない部分があるので、みなさんの感想やら有名な説やらを教えていただけたら嬉しいです!
 コメント・リプお待ちしています♪

鍵のかかった部屋感想(構成編)

わーい!いまさらすぎてなんですけども、鍵部屋のDVDがとうとう発売されました!
というわけで、「鍵のかかった部屋」の感想を書きたいと思います。
まめかんはこの作品が大好きなうえ、記憶に新しいため、感想がけっこう書けてしまいました。

長くなったので分けますね。
今回は構成編と称して、作り手の人たちがドラマの構造で、こんな工夫をしていたんじゃないか?みたいなことを勝手に語るエントリーにします(笑)
次回は物語編と称して、物語的な見どころと脚本や演出の工夫を勝手に語るエントリーを予定しています。

ネタバレ大丈夫な方は続きから!

鍵のかかった部屋 DVD-BOX

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■あらすじ(Amazonより)
大野演じる「榎本径」は、大手警備会社で日々ひたすらセキュリティ(特に鍵や錠前)の研究に没頭する
“防犯オタク"。ひょんなことから密室事件の真相解明 を依頼され、膨大な知識と鋭い洞察力で解明し、
完全犯罪と思われた事件の解決への糸口を見出していく。共演者は、戸田恵梨香、佐藤浩市。
年齢問わず幅広い層にも楽しめる密室パズルミステリー


■ドラマ全体の構成

■基本的な構成
基本的な構成としては、弁護士の青砥・芹沢のどちらかが密室事件の解決依頼を受け、防犯と鍵の専門家である榎本に協力を依頼。
冷静沈着で頭が切れる榎本と青砥・芹沢のドタバタコンビがともに密室トリックを解き明かしていく、一話完結のミステリードラマ。
主要キャストはこの3人のみ。そしてレギュラー陣も、刑事の鴻野と法律事務所勤務の秘書、水城の2人のみ。あとは、各話ごとに豪華だけども渋ーい実力派ゲストたちが登場し、話が進んでいきます。

■視聴者を離さない設計
一話ごとの割合として見ると、おおよそゲストを絡めた密室トリックの解決が約80%。チーム榎本の関係が深まっていく過程が10%。榎本と青砥の恋愛模様が約5%、榎本の正体のヒントが約5%という印象。
「鍵のかかった部屋」の連ドラ的な「来週見たい!」という気持ちにさせた部分は、後半の20%の部分に尽きる、というのがすごく見事なさじ加減。ここが多くても少なくても、ドラマの吸引力は薄まっていたと思います。

事件部分の80%の部分でも、榎本が中心の回以外に、青砥・芹沢が中心となってリードする回もあり、個々のキャラクターや思考が推理の過程や、言葉の掛け合いで見えやすいように工夫されていました。
例えば、芹沢は、事件導入の理由付けと合わせて、調子に乗って密室の解決を引き受けてしまう見栄っ張りで調子だけ良い、どこか憎めないキャラとして感じられるようになっていました。

一見、どこからでも話について行ける一話完結ミステリーという枠組みながらも、その裏ではチーム榎本の関係の変化榎本径の正体は何か?という2種類の連続しているドラマがあるわけです。この作り手側の絶妙なバランス感覚と視聴者を引き付ける魅力的な裏のドラマテーマを程よく小出しにしてきたこと。「鍵のかかった部屋」というドラマ構成を考えるうえで欠かせないポイントです。



■斬新な推理パート

■鍵オタクならではの推理パート
今回のドラマでとても斬新だと感じたのは推理パートの部分。
探偵役である榎本が「密室トリック以外に興味のない鍵オタク」という設定のため、特別な事情がない限り犯人解明に関心を持っていません。そのため、一般に想像される推理物のクライマックスの犯人の涙や探偵による説得、動機面の調査も事件解決に必要なければ榎本は一切やりません。

■事件解決の役割分担がチーム感に
そんな榎本の代わりに、トリック解明以外の探偵役情報提供者&根回しや裏付けといった、視聴者の不満解消&突っ込みどころを埋めるポジションを担当したのが青砥や芹沢です。
なので、榎本が華麗にトリックを解明したものの、容疑者を追い詰めていく最もスリリングなシーンを青砥と芹沢が担当し、主役は黙りこくる、すごく斬新な推理パートの分担になっているのです。
また、このように重要な部分を3人で分担していることで、下手すると狂言回しにしかならないサポート役の2人が上手く機能して「チーム感」が出ています。

■設定を最大限使う演出
とはいえ、容疑者たちも動機はほとんど語りません。お涙ちょうだいものの背景があったとしても、すごくあっさり終わっていきます。そこで「密室トリック解明」にフォーカスしているチーム榎本のスタンスが明確になり、「鍵のかかった部屋」独特のスタイリッシュでドライな世界観が生まれています。こういう描き方をできるのも、探偵役がセキュリティー会社と企業法務専門の弁護士で門外漢の民間人の設定があるからです。たぶん、これで刑事や探偵がチーム榎本に存在していたら、こんな動機をスルーするような推理パートにはできなかったと思うので、原作から引き継いだ設定の妙という感じですね。



■秀逸なドラマ化

■原作を読んだ人でも二度おいしいドラマ
もともと原作のシリーズが好きだったのですが、映画ならぎりぎり大丈夫でも、基本的に映像化には向いていない作品だと思いました。正直、これをドラマ、しかも月9に持ってくるのは無謀だろうと思っていました。何といっても、画面が地味なうえ、すべて密室もの。いくらなんでも挑戦しすぎ!と感じたのです。
多分、作り手の方もそう思われたんだと思います。月9ドラマ化するうえで、いろんな工夫をされていました。
また、原作を読み、トリックを知っている人でも楽しめる作りになっていたのも、素晴らしい工夫だったと思います。

■キャラクターの改変
まず、大きい変化では、オリジナルキャラの芹沢豪を投入しました。ベテランの佐藤浩一さん演じる芹沢が物語全体に緩急をつけていて、特に原作になかったコミカルな部分を一手に担っていて素晴らしい改変だったと思います。
他にも、青砥のキャラをキャリアウーマンから、新人のちょっとドジっこだけど一生懸命成長している女の子に変えたことで、かなりテンション的に華やかさと勢いが出ていました。
さらにすごくうまい改変が、主人公の榎本径。原作榎本はかなり手慣れた小悪党というテイストで、青砥を振り回していましたが、ドラマ版榎本は鍵にしか興味を持たず、対人関係全般が大の苦手なオタクでした。イヤホンで榎本の対人距離を表す演出とかも良かったですね。
このように、原作にない主要キャラの登場&性格を少し変えたことで、ドラマ版の新しい関係性やオチが待っているんじゃないか、と期待させる効果がありました。

■トリックの映像化
トリックだけ変えないでください、と言われていたらしい鍵部屋。
私が密室の映像化にあたって感嘆したのは、文章だとイメージしにくい密室トリックが映像になることで感覚的に理解できる、という点です。この作品は、トリックのアイデアをどんどん出していって実験・検証していく過程も面白いんですが、白タイツくんと呼ばれたCG人間が不可能なトリックの再現をしてくれることで、最後に出てきた解答にリアリティーが生まれるというか。最初にとんでもなく無茶なことを言われると、その次に言われたちょっと無茶なことをついつい受け入れてしまう感じです(笑)

当たり前なんですけど、密室のトリック部分を現実的に可能かも、と感じさせる映像になると、密室物ってこんなに面白いんだ!という意外な発見でした。
また、トリック部分の種明かしを上手に見せることにこだわったところが、ミステリードラマとしての良質さや、ちゃんと押さえてるなー!という信頼を感じさせた理由になっていたと思います。

■音や動きにこだわった画面
この作品は音も電子音系でスタイリッシュに、うまーく使っていました。密室物は画面が地味になりがちなので、音楽で上手く盛り上がりを作っていたような印象です。
大野さんの決め台詞と鍵を開けるしぐさも、動きで盛り上がりをわかりやすくする工夫ですね。
また同じシーンを撮るにしても、生真面目な表情で榎本さんが非常にきびきび動く等、普通にやったら地味なシーンを役者陣のやりすぎないけども妙に笑える動きでかなり持たせていました。
このあたりの、動きや音を使った演出はドラマだからできることでもありますし、すごくこだわりを感じました。

■視聴者への挑戦
もう一つ、視聴者を引き付けていた重要なの仕掛けは、事件解明のヒントの隠れたOP映像です。このドラマでは、冒頭でチーム榎本が主題やヒントを提示してくれるうえに、毎回OP映像が異なり、犬が出てくる回だったら犬のシルエット、と密室トリックを解くカギをネタバレしています。つまり、毎週「視聴者への挑戦」をドラマ内で行っていたわけです(他にもHPで次週予告の映像からトリックを見破る企画をやっていました)。

この作品のトリックは、原作者の貴志先生もおっしゃっていたように「ありえそうで現実的には実行できないトリック」が出てきています。そのために、普通に推理物としてやってしまったら、これもまた突っ込みどころ満載なんですよね。それが、このOPによって大分軽減されたというか、結論をネタバレしているフェアな姿勢に、いくらくだらないトリックや専門的なトリックが来ても、あまりいらいらしないような効果があった気がします(笑)

さらにこの映像によって、推理物に知識や馴染みがなくても、OP映像のヒントに気付ける目ざとさがあればトリックを見破られるようになりました。これが一時間画面を真剣に見る視聴者の多さにもつながったと思いますし、原作の持っているクイズ感みたいなものを感じられて、答え合わせをする楽しみがありました。そのあたりの作り手の仕掛けによって、密室というコアなジャンルに興味のない視聴者層にも楽しみ方がわかりやすい作品になっていた、と思います。

■キャスティングの妙
最終話を見て、大野智というアイドルのタレントイメージをうまく使った!とつくづく感動してしまいました。
実況等々も見ていたのですが、榎本径のキャラクター改変は「優等生ジャニーズで悪党らしい悪党の役はNGなんじゃないか」との解釈が多数。怪しい部分は多々見受けられたものの、なんだかんだ10話まで純なイメージは覆らなかったため、最後まで榎本さんはクロに見せかけたシロだ!と視聴者を思い込ませる効果がありました。

最終話までに榎本像をつかめたと思えば思うほど、裏切られるラストの衝撃が大きいため、キャラ設定の改変とこのキャスティングは絶妙だったと思います。映像化では、タレントイメージとキャラクターイメージをどこか重ねてしまう部分もあるので、そのあたりをうまく読んでキャスティングされていましたし、ゲストの方々も、決して派手ではないけども実力派で役にぴったりの方ばかりだったので、ここにもこだわりを感じました。


というわけで、このドラマ、本当に細部までスタッフの方の愛とこだわりを感じるんですよね。
小原Pが理系の方だからなのか、何から何まで計算され尽くされた!という感じの作りも素晴らしいと思います。
見る人の好みで本格ミステリーとしても、クイズとしても、榎本・青砥・芹沢の恋愛?友情?物語としても、榎本の本性を暴く物語としても面白いです。自分の軸足を色んな場所において見ることができますし、それがわがままな視聴者に受け入れられたのかもしれません。
バラバラに見ても良作、最終話まで見ると名作の印象に変わるのも面白いドラマでした。

中でも私が面白いと思ったのは、榎本の本性を暴く物語なので、次回はその日のツイートと共に、物語全体の感想を書いていきたいと思います。
ご意見・ご感想はコメントorリプでお待ちしています♪